EMS学長 修了生インタビュー

東洋大学ライフデザイン学部 准教授

仲 綾子氏

(文・写真・構成:氏家おりえ(EMS0期修了、1期特論Ⅱ受講))


<仲 綾子さん プロフィール> 
東洋大学ライフデザイン学部人間環境デザイン学科准教授。博士(工学)。京都大学卒業、東京工業大学大学院修了。環境デザイン研究所、厚生労働省を経て現職。博士(工学)、一級建築士。専門は、こども環境、医療福祉建築。経済産業省「商業施設内の遊戯施設における消費者安全に関する検討会」座長、こども環境学会代議員、日本建築学会子ども教育支援会議子ども教育事業部会部会長ほか。主な設計に、こども病院、小学校、保育園、ベビー休憩室、住宅ほか。主な著書に「こどもとおとなの空間デザイン」(産学社、2018)、「保育園・幼稚園・こども園の設計手法」(学芸出版社、2019)ほか。2019年1月に、EMSゼロ期生としてEMSに参画。楽しく学ぶ姿を間近で見ていた夫が1期生として参画。 


みなさん、こんにちは。大久保寛司です。
このインタビューでは、私が聞き手になり、「〇〇の本質とは何か」を追求していきます。今回は、大学の准教授で、こども向け建築・設計の専門家である仲綾子さんをお招きしました。仲さんは、EMS(エッセンシャルマネジメントスクール)のゼロ期生でもいらっしゃいます。仲さんと私との出会いは、EMSの会場でした。

「大人」と「子供」とでは、見ている世界が違う

まず初めに、自己紹介をお願いできますか?


私の専門は、建築です。特に、こども向けの環境デザインを専門にしています。


こども向けの環境がご専門なのですね。


はい。「こども環境学会」(公益社団法人「こども環境学会」)という学会もあるなど、専門的に研究されている分野です。


「大人」と「こども」とでは、大きく何が違いますか?


見ている世界が違いますね。こどもは「小さな大人」ではなくて、こども独特の世界を持っています。ですから、それにふさわしいデザインがあるはずだ、という想いで追求しています。

こどもたちの行動から学び、特徴をとらえてデザインする

冒頭から、深い言葉ですね。「こどもは小さな大人ではなく、それぞれが独特の世界をもっているんだ」と。そこをとらえて、デザインしていくんですか?


はい。こどもは、「サポートしてあげる対象」ではなくて、むしろ私たちが学ぶことがたくさんあるんじゃないか、と思って取り組んでいます。


こどもたちの持っている世界を、デザインにどのように反映するのですか?


ずっと行動を観察しています。こどもって、思ってもみなかったところで、思ってもみなかった行動をするんです。それを見て、「あーこういうことしちゃうんだ」と気づくわけです。その気づきを、新しいデザインに転換しています。


なるほど、こどもたちを観察して、そこから何か特徴を引き出す。今の話は、何か物事の本質に通じるものがある気がしますね。ああだ、こうだと言う前に、じっと観察する。そうすると必ずそこに特徴が見えてくるんですよね。その特徴をとらえて、デザインに反映していく、ということですね。「こども向けの建築」をはじめて、何年くらい経ちますか?


25年くらい。歳がバレちゃう(笑)


25年前からこども向けの環境デザインを専門にしてこられたのですか?

はい。大学を卒業する頃からこどもをテーマにやりたいと思っていました。こどもたちから、建築において大切な事は何かを、ずっと教えてもらっています。

EMS創設者の西條剛央さんが「本質を追求する」姿に魅かれて

EMSを知ったきっかけは何ですか?


英語学習プログラム「レベレスト」で西條さんを知っていました。西條さんがやるんだから、きっと面白いだろうなーと軽い気持ちでEMSに参加しました。


西條さんは、どの辺りが面白かったですか?


本質ということを、恥ずかしげもなく追及するところですね。

「本質を追及する」って、なかなか、人前で言うの恥ずかしいですよね。

それを初対面の人に伝えようとする「静かな熱意」というか、そこに惹かれました。


アメリカの経営者の中には、「経営で一番大切なのは愛だ」という人もいますが、日本人にはあまりいませんね。なんか恥ずかしいという感覚。でもそれを、恥ずかしげもなく堂々と言っている。


そうです。それが、かっこいいなあと思って。

EMSでの気づきが無かったら、私は死んでいたかもしれない

EMSに参加して、気づきや得られたものがありましたか?

 

はい、ありました。
私はそこそこ自分でも「いい仕事をしている」と思っていたんです、今まで。
大学で教鞭をとっていますが、学生からの授業の評価もそれなりに高いし、家庭も幸せ。別に、不安も不満も何もないと思っていたんです。特に抱えている問題はないなと。
ところが、参加してしばらくすると、「このままだと私、死んでたかも」と思いました。
自分では、全く気がついていなかったんです。


「死んでいたかもしれない」というのは、どういうことですか?

 

無理をしていたんです。体力的にも無理していたし、自分がやりたいことをやっているように思われていますが、ずっと周りのことを考えてやっていました。

 

大学を卒業する頃から、こどもに特化したデザインをやりたいと、ずっと取り組んできたわけですよね?それが、ちょっと違っていたんですか?

 

いえ、それはやりたいことなんですが、体力的に無理してやっていたんです。例えば、寝ないで設計したり、研究したり、家のことをやったり。

気づきの契機は、「犠牲のマネジメント」という言葉

子育てしながらの仕事って、ものすごい負荷でしょ?

そうですね。でも、全然気がついていなかったんです。自分への負担とか。
「やればやるほどいい」という考え方にとらわれていて、常にやっていないと焦りのようなものがありました。でも、見ないふりをしていました。

 

ぎりぎりの、寝ないでやるのが人として正しいという感覚をお持ちだった、と。

 

そうです。倒れるまで走って、あと一歩踏み出せ、みたいな(笑)

 

昭和を思い出すような(笑)一日の睡眠時間は、どれくらいだったんですか?

 

4~5時間です。

 

ご主人から、無理するなとは言われませんでしたか?

 

言われましたが、無理してないよ、と思っていました。

 

病気には?

 

なりました。めまいが常にしていたり。周りから、休みなよと言われても、「私ぜんぜん大丈夫」と応えていました。

 

なぜ、気がついたんですか?

 

EMSの授業の中で、「犠牲のマネジメント」という強すぎる言葉が出てきました。他の人のことかなあと思って聞いていたんですが、よく考えたら、これ私じゃない?と途中で気づいちゃって(笑)

 

気づいた時の感覚は、どんな感じでした?

 

じわじわ泣いちゃう感じでした。他の人のことだと思っていたのに、自分の事だったから。
「自分をここまで追い込んでやってきたのか、体にもいろんな犠牲を生んできていたんだ」と。

 

その感覚になったとき、ご自宅に帰って、ご主人から何か言われましたか?

何も言われませんでした。彼はEMS1期に入ったんですが、参加した理由を「(私が)なんか楽しそうに見えたから。イキイキしてみえた」と言っていました。私は、気がついてしまったので、苦しかったのに。何にも見てない人ね、と思いました(笑)

きつい中でも溢れ出る、プラスのエネルギー

実際には苦しいのに楽しそうに見える、というのは理想だと思うんです。一番よくないのは、苦しんでいないのに苦しそうね、と言われること。本人はきついんだけど、周りから見たらいつも楽しそうで「あなたといたらホッとするわ」と言われるの、最高でしょ?
「気づき」には、2種類あるんじゃないでしょうか。
一つは「きついな、って感じるけれど、プラスの空気・エネルギーが出る」もの。
もう一つは、「気がついて、落ち込んでばかりのエネルギーが出る」もの。
そういう意味では、「気づきの本質」は、プラスのエネルギーが出るものなのかなって思いました。

 

そうだと思います。
あと、もう一つ。どうしてもお伝えしたいことがあります。
私は、仕事も家庭も満足していたんですけど、この(低い)レベルで満足していた。EMSに来ると、参加者の方々が、もっと高いレベルでものを見せてくれるので、風景が全然違ったんです。

見える景色が変わった

見える景色が違う


そう。それを本当に実感しました。


同じところにいると、見える景色って基本的に同じなんですよね。
でも仲さんがおっしゃる景色というのは、物理的なものだけではなくて、「心のあり方」「生き方」の景色ですよね。それはやはり、そういうものを持っている人の中に行くと、見える景色って変わるんでしょうね。


大きく変わりました。

 

仲さんのおかげで気づいた、という人もいるんじゃないですかね?講義の中で、仲さんが皆さんに、「英語が苦手だった理由に、自分の過去の思い込みが関係したことに気づけた」ことを自己開示してくださいましたね。あの時の心境はいかがでした?

 

気軽に話したのですが、みんなびっくりしていました。
あんなに重いことを、明るく軽く話して、と。自分の中では、もう解決していることなので、何のてらいも恥じらいもなくしゃべってしまいました。

 

理想ですね。ご本人は乗り越えた後の話ですが、聞き手にとっては「えー!そうだったの?」とすごいインパクトを受けているんですよね。

ご主人が受講することにしたのは、仲さんが楽しそうにしてたからですよね。
帰宅すると、楽しそうな顔をしていたんですか?

 

EMSから帰ってくるたびに、私が楽しそうに見えたんでしょうね。

 

EMS1期は始まったばかりですが、初日に参加された後のご主人の反応はどうでしたか?

 

楽しそうにしています。

EMSは、「私が楽しそうなのを見て、主人も行くようになった」場所

「EMSって何?」と他の方から聞かれたら、どう説明しますか?

 

共に学ぶ場所ですね。

 

仲さんの場合、シンプルに「とにかく、気づきと学びがたくさんあって、主人も行くようになった」ということではないでしょうか。とても説得力がありますね。論理より、行動がすべての本質を語るので。
簡単に言うと、「行くと幸せになるわよ(人によるけど)!」と。

 

その通りですね!
また、「100人100通り」、「それぞれでいいのよ」という感じが、すごく好きです。

【インタビューを終えて】
ゼロ期における仲さんは、他の方の意見を聴くときの姿勢が素晴らしかったです。なんとも言えない温かい表情で聴くんです。そういうふうに聴いてもらえると、人は心地よく言葉が出てきます。
EMSには珍しく、奥様が先に参加して、次の期にご主人が参加されています。こういったケースが、これから増えてくるといいなと思います。
今日は、ありがとうございました。